大学編入体験談(2)

大学編入体験談(1)の続きです。閲覧はここからお願いします!

 

ryomablog.hatenablog.com

 ここでは、僕が受けた東大と阪大で今年どんな問題が出たか、面接で何を聞かれたかについて書いていきます。

 

東京大学

時期として今年は7月2日でした。例年、7月の1週目に試験を行うことが多いです。東大は1次試験(学力)と2次試験(面接)に分かれていて、1次を突破しないと面接には進めません。

数学

問題1:例年通り微分方程式でした。非常に簡単

問題2:こちらも例年通り確率統計。2項分布に関する問題。難しい

問題3:予想外すぎるベクトル解析でした。1通り勉強したつもりでしたが、標準的な問題ではなく与式から流れ場を選択する問題などで選択問題が多かったですが難しかった。

問題4:例年通り複素解析で、留数定理を用いて複素積分する問題でした。簡単

問題5:例年通り線形代数でしたが、ベクトルを最小化にする条件などを求める問題で初めて見た問題でした。難しい

 

英語

問題1:東大の問題だけリスニングがあります。T/F問題とディクテーション

問題2:英訳問題。5つくらいの日本語の文があってそれぞれを英訳する問題

問題3:和訳問題でこれからの科学技術について的なことが書かれていた

問題4:長文読解。エスカレータは歩いた方が速いのか、じっとしてた方が良いのかということについて書かれていました。読んでいて面白かったです。

問題5:自由英作文。軍事研究に賛成か反対かを理由付きで150語程度で書きなさ  いという問題でした。

 

物理

問題1:力学。バネに小球がつながっている問題で誘導付きで小問を解いていく感じでした。名門の森に載ってそうな問題

問題2:電磁気。平行平板が5枚くらいあって電圧をかけたりかけなかったりして、電荷を求めたりする問題。これも名門の森に載っていそう。

問題3:光学。全くのノーマークでした。見た瞬間諦めたのでよく覚えていません。

 

東大受験まとめ

英語を終えた時はイケるかもと思いましたが、今年の数学が難しすぎて終わった瞬間落ちたなと思いました。なんとか物理で持ち直そうとしましたが力学と電磁気はともかく光学はあまり解けませんでした。

成績開示の結果は以下のようになっています。

英語:355点 数学:243点 物理:162点

噂によると合格ラインのボーダーは6割なので数学と物理が足りてないですね。僕の受けた物理工学科の今年の合格者は2名でした。

 

大阪大学(基礎工学部)

時期は7月11日(学力)と12日(面接・口頭試問)でした。例年は7月下旬が試験だったのですが今年は2週目になっていたので来年からもこの時期かもしれません。また、面接の日の夕方に合格発表があるのがすごく良いです。東大とは違い、学力で切られることなく面接・口頭試問に進めます。僕の受けたコースは専門科目に化学が入っていましたが、コースによって専門科目が異なります。数学・英語は必須です。以下がそれぞれの専門科目です。

エレクトロニクスコース:物理、電気回路、固体電子工学

物性物理科学コース、合成化学コース、化学工学コース:物理、化学

機械科学コース:熱工学、流体力学、材料力学、機械力学

知能システム学コース:物理、回路理論、制御工学、ハードとソフトの基礎

生物工学コース:物理、生物学、生物工学

計算機科学コース、ソフトウェア科学コース:物理、プログラミング、論理回路

数理科学コース:物理、応用数理(微分方程式複素関数論、フーリエ解析、確率統計)

数学

例年通り、微積線形代数・確率統計という構成は変わりませんでした。

問題1:定積分で定義された関数から、条件に合わせて未知変数を求めていく問題

問題2:例年は固有値固有ベクトル、3項間漸化式などの問題でしたが、線形独立か線形従属かを調べる問題

問題3:スタート地点から次の点までの確率が与えられていて期待値などを求める問題

 

英語

問題1:下線部のみの英文和訳

問題2:長文読解。幸せについて書かれた文章で結構時間がかかりました。

問題3:和文英訳。3つの日本語で書かれた文をそれぞれ英訳

こちらも問題構成は例年通りでした。

 

物理

問題1:剛体の運動に関する問題で、球の慣性モーメントを求めてから剛体の運動方程式と普通の運動方程式を連立して運動を調べる問題。

問題2:円電流の磁界や磁気モーメントを求める問題。磁気モーメントはうろ覚えなりに埋めた。

問題3:熱力学。弾丸をセットされた銃?に関する問題で熱力学的な理由づけからそれぞれの条件での弾丸の運動を調べる問題

 

化学

問題1:蒸留実験に関する問題。沸騰石を入れるのはなぜかという中学生でも解ける問題が出てビックリした。

問題2:理論化学。反応速度に関する問題でグラフを図示する問題も出た。

問題3:有機化学。選択しなかったので覚えていません。

 

面接

過去も受験報告書を見ると口頭試問は無いという話でしたが、僕はありました。以下聞かれたこ

・志望動機(なぜ物性物理科学コースかも絡めて)

・頑張ったこ

・大学入ってから何したい?

・卒研どんなことやってるの?

・試験の出来(化学4割と言ったら「まあ、そのくらいだね(笑)」と言われた)

・勉強方法(ここで、学校で習っていない範囲は全て独学したと答えたら次の質問がきた)

・英語どのくらいできる?

・留数定理使って複素積分して(ホワイトボードに書く)

・併願状況

・沖縄高専からOISTって行けないの?(ここから雑談)

・専攻科卒業してからOISTに進んだ人いる?

・プロフェッショナルの流儀見たことある?

面接の雰囲気は穏やかでおしゃべりのような感じ。5人のうち真ん中の人が主に質問してきて、横の2人がたまに質問して、端っこの人は終始無言でした。

 

阪大受験まとめ

化学が不安すぎたのですが、今年は簡単だったかもしれません。真面目に大学化学まで勉強することをオススメします。東大から1週間後くらいで受験だったので、少々体力的な疲れもありましたが、合格した時は本当に嬉しかったです。嬉しすぎて30分くらい足をつっていました笑。今年の物性物理科学コースの合格者は3名でした。

古澤研に入りたいので院で東大リベンジします。

大学編入体験談(1)

 

僕は高専の5年生で今年受験でした。受かった大学が大阪大学基礎工学部しかないので来年は阪大に進学する予定です。以下が僕の出願した大学と結果です。

第1希望:東京大学工学部物理工学科(不合格)

第2希望:大阪大学基礎工学部電子物理科学科物性物理科学コース(合格)

第3希望:筑波大学理工学群応用理工学類(出願のみ)

滑り止め:沖縄高専専攻科

なぜ進学を選んだか?

僕は回路やプログラミング、通信を幅広く勉強するような学科に在籍しています。入学時から就職しようと思っていましたが、1年生の一番最初の定期試験で学科1位をとってしまい、「俺、高専でやっていけるんじゃね」という考えを持つようになり徐々に進学の方に心が傾いていきました。 あと、3年の時に量子コンピュータに興味を持って研究職に就きたいと思うようになりました。

 

受験勉強

1年

部活に入っていたので、勉強は定期試験の直前のみしかしていませんでした。

 

2年

2年生になってすぐに色々あって部活を辞めましたが、1年の時と同じで定期試験の直前のみです。この時期にFPSの楽しさに気づいてしまい毎日やっていました。また、GTEC for Studentという英語の試験を受けて、結果が学年全体で130/160くらいだったのでヤバいとは思いつつも勉強せず...

 

3年

そろそろ勉強しようと思い、DUOと高専の数学問題集、物理のエッセンスを始めました。この頃は第1志望が東大になったり、東工大になったりと心変わりが激しかったです。

今まで数学は公式の暗記だと思っていて「なぜ」という疑問を持たずにやってきましたが、夏休みに数学ガールという本を立ち読みして数学の面白さや理解することの大切さに気づき、その頃から定理の成り立つ過程や公式の導出まで目を向けるようになりました。

また、僕は数学や物理は問題を解くときに記述式にして、論理の流れや考えを丁寧に書いて後で見返せるようにしてました。ただ、少し効率が悪い...

 

DUO 3.0

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新編高専の数学2問題集 第2版

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4年前期

この時期に第1志望は東大にしました。前期はインターンシップの準備、夏休みにはインターンシップなどがありましたが、なるべくペースを落とさずに勉強を進めて行きました。進捗は以下のようになってます。

英語:引き続きDUOを進めつつ、Forestと一億人の英文法を使って文法を固めていきま した。この時点でのTOEICのスコアは445点で、多少なりとも勉強したにも関わらずこの点数だったのでだいぶ落ち込みました。

 

数学:高専の数学はだいたい終わらせたのでマセマの参考書(主に微積線形代数)を使って基礎を固めていきました。また、物理でベクトル解析が大切であることが分かったので夏休みにはベクトル解析を1通りやりました。

 

物理:物理のエッセンスで高校物理を復習したのですが、東大物理は名門の森をやっておくと良いということを過去の体験談で知ったので進めていきました。

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 4年後期

10月に学年全体でTOEICを受けました。学校内で成績優秀と呼ばれるのは500点からなのですが、初めてスコアが500点になり僕としては非常に嬉しかったです。

英語:文法は終わりましたが、DUOは引き続きやっていました。また、英文読解の練習として、英文読解入門とポレポレ英文読解プロセス50を始めました。

 

数学:微積線形代数の基礎を固めたので、編入試験勉強では定番の徹底演習と新しく発売された大学編入のための数学問題集を始めて演習メインになりました。

 

物理:マセマで大学物理の力学と電磁気を終わらせた後に、基礎物理学演習に入っていきました。

 

英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式 改訂版

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ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式

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大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)-微分積分/線形代数/応用数学/確率-

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大学編入のための数学問題集

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基礎物理学演習 (1) (ライブラリ工学基礎物理学 (別巻=1))

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基礎物理学演習 (2)

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 4年春休み

第2志望以下の大学を決めていなかったので、やりたい研究ができることとある程度のレベルを基準にして志望校を決定していきました。ここで、化学の勉強をしないといけないと判明したので、春休み中に高校化学を終わらせることを目標にしました。

英語:英文読解とDUOを終わらせたので、2冊目の単語帳として鉄壁と基礎英文解釈の技術100を始めました。

 

数学:引き続き問題演習

 

物理:学校の先生にオススメされた電磁気の本で知識を整理しました。それ以外は基礎物理学演習を続けていました。

 

化学:化学は1年生以来触れていないのでやさしめの本から始めました。使った参考書は鎌田の有機化学、理論化学、福間の無機化学を使用しました。

 

鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁

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基礎英文解釈の技術100 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)

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基礎電磁気学

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鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)

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鎌田の有機化学の講義 三訂版(大学受験Doシリーズ)

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福間の無機化学の講義 三訂版(大学受験Doシリーズ)

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 5年

筑波大学に提出用にTOEIC公開試験を受けたらスコアが630点になっていて、噂にある点数互換で7割くらいを確保できたので一安心しました。この頃から、受ける大学の過去問を解いて各教科の先生に添削を依頼しました。試験1週間前あたりから受かる自信が無くなっていき浪人を考えたり、友達とボーリングに行ったりなどして現実逃避していました。精神状態もだいぶ悪かったと思います。今考えてみれば、ボーリングは良い息抜きだったと思います笑

英語:英作文対策にドラゴンイングリッシュを使用しました。また東大、阪大の過去問を10年分解きました。

 

数学:複素解析と確率・統計を忘れたいたので、マセマの複素関数と細野の確率、大日本図書の確率統計を終わらせて、定番の過去問特訓と行列・行列式・ベクトル徹底演習、東大、阪大、筑波の過去問を10年分を解いていきました。

 

物理:マセマの熱力学を使い基礎を固め、演習として基礎物理学演習の熱力学の部分を解きました。力学で剛体の運動をおろそかにしていたので演習力学のその部分だけ解きました。

 

化学:電子軌道あたりの分野をおろそかにしていたので、他学科の友達に借りたベーシック物理化学を始めました。

 

ドラゴン・イングリッシュ基本英文100

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新確率統計

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編入数学過去問特訓―入試問題による徹底演習

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ベクトル・行列・行列式 徹底演習

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演習力学 (セミナーライブラリ物理学 (2))

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ベーシック物理化学

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高専からの大学編入について

 

高専卒業後の進路の選択として就職と進学(主に編入)の2つがあります。この記事では編入の仕組みと僕の編入体験談について書いていこうと思います。

大学編入の仕組み

高専での5年間は一般的に高校(3年)+短大(2年)のようになっていて、進学では主に大学3年次(東大と京大は2年次)に編入ということになります。進学する学部は工学部だけでなく理学部や経済学部も一部募集しています。

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編入難易度

受験勉強時期に調べた体験談から、僕的な編入難易度(工学部)のランクは以下のようになっています。

S  京都大 東工大 東大

A+ 大阪大 九州大 名古屋大 東北大 北海道大

A  筑波大 神戸大 千葉大 電通大 農工大

B  広島大 金沢大 岡山大 大阪府立大 首都大学東京 名工大

C  九工大 埼玉大 その他国立大

D  豊橋技科大 長岡技科大

おそらく一番難しいのは京都大だと思います。試験内容もそうですが、英語の試験がTOEFLのスコア換算なので受験コストが高いということもあります。また、筑波大や千葉大旧帝大受験者の滑り止めになっているので倍率は非常に高いです。

受験費用

受験料は一校につき3万円で遠方から来る人は飛行機代やホテル代などで8万円くらいはかかるのではないかと思います。僕の周りでも2〜4校の人が多かったです。